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アトピー性皮膚炎ATOPIC

当院でのUnderstanding & Treatment(理解と治療)
子どものアトピー、一人ひとりに寄り添う専門医療を
ただ治すだけじゃない。暮らしやすさを取り戻すケアを
アトピー性皮膚炎(AD)は、乾燥・かゆみ・赤みなど肌のトラブルを繰り返す病気です。「また出てきた」「良くなったと思ったらぶり返す」など、本人はもちろん保護者の方には不安がつきものですよね。ですが、正しいケアと適切な治療のもとで、お子さまの肌の状態を落ち着かせ、「自分の肌で自信を持って過ごせる日」を増やすことが可能です。
最近は、新しいお薬が増え、治療の選択肢が広がっています。
「どうすればかゆみを減らせるか」「毎日をもっと楽に過ごせるにはどうしたらいいか」を一緒に考えながら、お子さんに合った治療法を丁寧に選んでいきます。
当院では、以下の対応を大切にしています。
専門スタッフによるサポート
当院には、小児アレルギーエデュケーター(PAE)やアレルギー疾患療養指導士(CAI)など、専門の知識と経験を持つスタッフが在籍しています。
治療
どんな小さなことでも気軽にご相談ください。 「寄り添いながら一歩ずつ」が当院のモットーです。
アトピー性皮膚炎ケア:3本柱
内容 | 当院での特徴 | |
---|---|---|
スキンケア | 保湿剤の選び方・使い方、お風呂・洗い方・衣服の素材など、皮膚を守る生活習慣 | PAEスタッフが、保護者の方と一緒に「こうしたらいいか/これは避けたほうがいいか」を丁寧に説明させていただきます。 |
薬物療法 | 外用ステロイド、免疫抑制外用薬(例:プロトピック®など)、生物学的製剤(例:デュピクセント®など)を症状と経過に応じて使用 | これまでの治療歴・検査・症状を見て、安全で効果的な薬を考えていきます。必要最小限の量・期間の設定を心がけます。 塗り薬や注射の仕方(痛みの軽減方法)も、PAEスタッフが詳しく説明させていただきます。 |
抗原回避 | ハウスダスト・ダニ・ペットの毛・汗・湿度・繊維など、症状を悪化させる因子の生活での調整 | お家での掃除のコツ・環境整備、服の素材選び・洗濯洗剤など、日常生活の細かい工夫についてもご相談ください。 |
スキンケア
まずは、皮膚を清潔に保つことが大切です。やさしく洗い、しっかりと保湿をしたうえで、必要に応じて塗り薬を使っていきます。
おむつや下着の中は汗で蒸れやすく、赤ちゃんや小さなお子さんは湿疹ができやすい場所です。
大きくなると、部活動や運動などで汗や摩擦が原因の湿疹が増えたり、ニキビが気になったりすることもあります。
軽い湿疹であれば、ていねいなスキンケアだけでも改善することが多いです。毎日の積み重ねが治療効果を高めるポイントです。
当院では、専門スタッフが一人ひとりに合わせて具体的にわかりやすくアドバイスをいたします。お気軽にご相談ください。
薬物療法
薬剤 | ポイント |
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抗ヒスタミン薬(内服薬) | かゆみを和らげ、夜ぐっすり眠れるよう手助けします。 |
ステロイド外用薬 | 炎症を抑える基本薬。敬遠されがちですが、使用方法を守っていけば安全に、確実に効果が現れます。漫然と使用するのではなく、on-offを考えながら使用します。 塗り方・期間をしっかり説明し、怖がらずに使えるようスタッフがケアします。 |
ジファミラスト軟膏(モイゼルト®) | 3か月〜使用できる安全性の高いお薬。ステロイドを使わずに炎症を抑えられる新しい選択肢です。 |
デルゴシチニブ軟膏(コレクチム®) | 6か月〜使用できる安全性の高いお薬。炎症とかゆみを引き起こすシグナルを抑制する塗り薬。 |
タクロリムス軟膏(プロトピック®) | 顔・首などデリケートな部位にも使用できます。使い始めの“ピリピリ感”は一時的なことが多いですが、すぐに慣れていきます。 |
薬剤 | ポイント |
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デュピルマブ(デュピクセント®) | IL-4Rα(IL-4/13)阻害薬。注射で炎症・かゆみをしっかり抑えます。ご自宅での自己注射も可能です。6ヵ月以上適応。 中等症以上のアトピー性皮膚炎の中心的薬剤になってきました。 |
レブリキズマブ(イブグリース®) | IL-13を選択的にブロックし、赤み・かゆみを改善し、皮膚のバリア機能回復を助けるお薬。15歳以上適応。 |
トラロキヌマブ(アドトラーザ®) | IL-13を選択的にブロックし、赤み・かゆみを改善し、皮膚のバリア機能回復を助けるお薬。15歳以上適応。 |
ネモリズマブ(ミチーガ®) | IL-31受容体を標的とし、特にかゆみに強い効果。注射痛は軽く、6歳以上適応。 |
薬剤 | ポイント |
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バリシチニブ(オルミエント®) | 飲み薬で全身の炎症と強いかゆみを抑えます。2歳以上適応。 |
ウパダシチニブ(リンヴォック®) | 強いかゆみ改善が期待できる飲み薬。12歳以上適応。 |
アブロシチニブ(サイバインコ®) | 強いかゆみ改善が期待できる飲み薬。12歳以上適応。 |
抗原回避
アトピー性皮膚炎を悪化させる原因のひとつに、ダニやホコリ、汗、ペットの毛やフケ、食べ物などのアレルゲンがあります。
「全部なくさなきゃ!」と思うと大変ですが、できることから少しずつ工夫していくことが大切です。
毎日の小さな工夫の積み重ねが、皮膚を守り、治療の効果をサポートします。
当院では、お子さんやご家族の生活に合った“やりやすい方法”を一緒に考えます。
無理をせず、楽に続けられる工夫を一緒に見つけていきましょう。
実は、しっかりしたスキンケアと正しい塗り薬の使い方を身につけるだけで、多くの方の症状は改善します。
ただ、その状態を維持していくのが難しいのです。
当院では、PAEやCAIなどの専門資格を持つスタッフが中心となり、お子さんやご家族が安心して治療を続けられるようにサポートしています。
さらに、これまで治療が難しかった中等症〜重症のお子さんも、生物学的製剤やJAK阻害薬といった新しい薬の登場により、かゆみが劇的に減り、肌の状態も安定し、毎日の生活が大きく変わっています。
当院でも多くのお子さんに使用し、その効果を実感しています。
まさに“人生を変える薬(Life Change Drug)”といえます。
「これまでの治療でなかなか良くならなかった」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
検査でアレルギー反応が陽性だから、すべての刺激を避けないといけない?
いいえ。検査陽性=必ず症状が出る、とは限りません。当院では、問診・検査・実際の症状を総合して、「どこまで避けるべきか」「いつ試すか」を個別に判断します。
薬をずっと使わなくてはいけないの?
必ずしもそうではありません。症状を抑える期間を短くする、使い方を見直すことも可能です。生活環境やスキンケアが安定してくると、薬の使用頻度を減らせるケースも多いです。現在は「プロアクティブ療法」といってステロイド外用薬を連日ではなく間隔をあけて使用することで、効果は得つつ副作用を少なくする治療法が主となっています。
食事とアトピーって関係ありますか?
食事が直接原因のことは少ないですが、食物アレルギーを合併していたり、栄養状態が皮膚の回復力に関係する場合があります。当院の管理栄養士が、必要な時に栄養相談をします。
ご来院時の流れ
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初診時のご相談(問診)
まずはお子さんの症状や経過、これまで使ってきたお薬、生活環境などをじっくりお聞きします。
- WEB予約(午前・午後・事前時間予約)
ご予約時に症状や経過をご入力いただくと、よりスムーズにご案内できます。 - お電話でのご予約も可能です。
- WEB予約(午前・午後・事前時間予約)
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必要な検査
症状に応じて血液検査や皮膚検査を行い、どのアレルゲンや刺激が関係していそうか調べます。
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スキンケア指導・お薬の処方
専門医とPAEスタッフが丁寧に診察します。
スキンケア教室やアトピー教室でお手入れの方法を実演しながらお伝えすることもあります。 -
定期的なフォローアップ
お子さんの皮膚の状態や生活リズムの変化に合わせて、お薬の調整や生活の工夫を一緒に考えます。
必要に応じて栄養相談も行いながら、無理なく続けられるサポートをしていきます。